ブラジル移住で心配なことの1つは、「病院探し」だと思います。
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今回は、医師をしている義妹に「ブラジルの医療システムと病院の探し方」を教えてもらいました。
ブラジルの医療システムは日本ともアメリカとも全然違って、日本人の私にとっては非常に複雑でした・・・
私自身が専門用語など詳しくないので、変な日本語訳などあるかもしれませんが、できるかぎりみなさんに分かりやすくご説明していきたいと思います。
ここでは、できるだけブラジル全体の話をしたいですが、サンパウロ州の内容に偏っているところもあるかもしれませんので、その点ご容赦いただけますと幸いです。
公共医療サービス(Sistema Único de Saúde)
ブラジルには、公共医療サービス(Sistema Único de Saúde, SUS)があり、すべての医療サービスを無料で受けることができます。
これは、ブラジル人であるか、ブラジル人でないかに関わらず、ブラジルにいれば、すべての人が受けられます。
なので、日本人がブラジルに旅行に来て、病気になって、公共医療サービスを利用しても無料です。
公共医療サービスのシステム
公共医療サービスで診察を受ける際の順序はこんな感じです。
プライマリーケア(Unidade Básica de Saúde)→病院(hospitais)
この順序を詳しく説明すると、プライマリーケア(Unidade de Saude da Familia/Unidade Básica de Saúde)でかかりつけ医に診てもらい、より専門的な治療が必要であると判断された場合、専門医(especialista)へ紹介状を書いてもらって行くことになります。
ブラジルでは専門医の数が十分でないので、このような仕組みになっています。
現在、ブラジルではプライマリーケアは、Unidade de Saude da FamiliaとUnidade Básica de Saúdeに分かれています。(今後は、Unidade de Saude da Familiaだけになっていきます。)
Unidade Básica de Saúdeではかかりつけ医の一般医が診察します。
Unidade de Saude da Familiaのかかりつけ医は3つに分かれています。小児科医と産婦人科医、一般医です。
このUnidade de Saude da Familiaでは、かかりつけ医は基本的に家族みんなを診てくれ、全身を診察してくれます。
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公共医療サービスで必要な治療はすべて受けられます。
公共医療サービスの欠点
しかしながら、ブラジルの公共医療サービスのクオリティは町によって異なります。
例えば、小さい町では医療設備が不足しているなど・・・
また、診察を受けるまでにかかる時間が大きな欠点です。
プライマリーケア(Unidade Básica de Saúde)や病院(hospitais)で医者に診察してもらう場合は当然予約が必要です。(救急の場合は必要ありません)
さらに、公共医療サービスを利用して、医師の診断を受けようとすると、専門医の診断を受けるために非常に時間がかかることがあります。
住んでいる場所によって、早いところもあれば、専門医に診てもらうまで1~2年以上かかってしまうこともあります。(救急や重症の場合は別です)
加えて、いくつかの検査は、検査を受けるまでに非常に時間がかかります。
これがブラジルの公共医療サービス(Sistema Único de Saúde, SUS)の問題点なのです。
例えば、自分で産婦人科の医師に診てもらわなきゃいけない病気だと分かっていても、まずはかかりつけ医のところに行かなければならず、余分な時間がかかってしまうのです。
そのような時間を短縮できるのが、次に紹介するブラジルで"Plano"と呼ばれる(民間)保険です。
薬も公共医療サービスを使うと無料です。
保険/プラン(Plano)
ブラジルは保険のことを、"Plano de saude"と呼びます。
保険のシステムとメリット
(民間)保険の場合は、直接専門医(especialista)に診てもらうことができます。
つまり、公共医療サービスのプライマリーケアで診てもらう時間を短縮できるのです。
私の加入している保険で、たとえば産婦人科に診てもらうなら、人気の医者は3カ月前から予約しなければいけませんが、普通の医者なら次の週には診察してもらえます。
必要な検査も、たいてい電話した次の週を予約できます。
さらに、公共医療サービスよりも良いサービスを受けられる場合もあります。
たとえば、もし保険がなければ、公立病院の5人部屋に入院しなければいけないかもしれません。(公立病院でも追加料金を払えばいい部屋に入院できるシステムのあるところもあります)
でも、プランがあれば、プランの内容によりますが、私立病院の1人部屋など、良い部屋に入院でき、病院食もより良いものがでてきます。
薬に関しては、私立病院やクリニックを利用する場合は、保険によってカバーされる金額が異なります。
保険を持っていない人が私立病院に行ったら?
もし保険を持っていない人が、クリニック(クリニックは必ず民間です)や病院に行った場合は、どうなるのでしょう?
この場合は、支払いが発生してしまいます。
公共医療サービスによっては、カバーされません。
ブラジルの病院・豆知識
ブラジルの(民間)は、健康保険(plano de saude)と歯科保険(plano de saude dental)に分かれています。
ここでお話ししているのは健康保険の話です。
歯科保険は保険の内容によって、どの範囲まで医療費がカバーされるのかは変わってきます。
公立病院よりも私立病院のほうがいいの?
「公立病院より私立病院のほうが、医師のクオリティも高いのでは?」と思うかもしれませんが、そういうわけではないそうです。
たとえば、優秀な外科医はたいてい私立病院で働きながら、(国立)大学病院でも働いています。
つまり、公立病院にも優秀な医師もたくさんいます。
(民間)保険に入っていて、私立病院で診てもらっていても、医者から「大学病院のこの教授に診てもらったほうが良い」と勧められる場合もあるそうです。
また、少なくともサンパウロなどがあるブラジルの南東部では、最高の医療設備や薬は、大きな大学病院にあります。
したがって、ブラジルで最高の医療も公共医療サービス(Sistema Único de Saúde, SUS)によって、無料で受けることができます。
なので、お金持ちでも国立・国立病院に入院している方もいるんですね。
しかし、私立病院のほうが公立病院よりも患者さんをウェルカムする雰囲気もありますし、お医者さんも時間をかけて親切に診察してくれる傾向にあります。
ブラジルの人口は多いので、公立病院はいつも忙しいので、なかなか親切なサービスを提供するところまでは難しいようです。
ブラジルでの公立病院の探し方
ブラジルで公立病院を探すためには、まずプライマリーケア(Unidade Básica de Saúde)がどこにあるのか探さなければいけません。
救急でない限り、自分の住んでいるエリアのプライマリーケアに行かなければなりません。
エリアAに住んでいるけど、エリアBのプライマリーケアに行きたいというのは基本的にはできません。
グーグルマップで"Unidade Básica de Saúde"と検索すれば、自分の住んでいるエリアのプライマリーケアが見つかるはずですよ!
ブラジルでの私立病院の探し方
ブラジルでのクリニックや私立病院のおすすめの医師の探し方をご紹介します。
1. 加入している保険プランを確認する
ブラジルでは加入している民間の医療保険によって、どの病院やクリニックを利用できるかが変わってきます。
加入している医療保険のサイトで確認しましょう。
2. 提携している病院・医者を選ぶ
提携している病院の中から、アクセスしやすい病院を選びましょう。
3. 知人からおすすめの病院を紹介してもらう
私の経験からすると、知人やお友達からおすすめの病院を紹介してもらうのが1番良いです。
適当に近い病院に行くと、やっぱりイマイチだったりまします。
私は病気の症状などをポルトガル語で説明する能力もないので、医者が英語を話せるかどうかはとても重要!
電話して受付の人に医者が英語を話せる人か聞きますが、受付の人が知らない場合もあるので、初回の診察に行って確かめた方が良いです。
4. 初回の診察を予約する
ブラジルでかかりつけ医を探している場合、特に病気じゃなくても、初回の診察を予約して大丈夫です!
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私は初回の診察に行って、ドクターがどのくらい英語の話せる人か確認します。
ブラジルの病院・豆知識
ブラジルのクリニックにはナースはいません。
病院やプライマリーケア(Unidade Básica de Saúde)に行くと、ナースがいます。
クリニックでは、ドクターが1人でしっかり時間をかけて診察してくれます。
日本語が通じる病院の探し方
日本語が通じる病院はサンパウロ市内ならたくさんあります。
他の町や州でも、あるにはありますが、数は圧倒的に減ります。
サンパウロ市内の日本語が通じるお医者さんを探すなら、ピンドラーマという雑誌がおすすめです。
サンパウロ市以外の病院も探すなら、PRESTIGE INTERNATIONALにはブラジルで270件ほどの日本語が通じる病院が載っています。
これらに載っていない病院でも日本語が通じる所もあるので、それらは近くのお友達や家族、同僚の方に口コミで聞くのが良いと思います。
ポルトガル語を勉強していても、病気のことはやっぱり日本語が通じるお医者さんとお話しできた方がいいですよね。
特に、電話で予約が基本なので、ポルトガル語だとハードル高すぎですよね(;^ω^)
基本的に、日本語が通じるお医者さんに診察してもらうには、私立病院またはクリニックに行く必要があります。
(なぜなら、公立病院は自分でお医者さんを選べないから。たまたま、外国語が話せる人がいる場合はあります。)
日本語が通じるお医者さんのところに通院したい場合は、必ず医療保険に加入しましょう。
加入する医療保険の対象病院に、日本語の通じる病院が含まれているかは事前に確認しておきましょう。
救急のときの病院の探し方
ブラジルで急病になったとき、どこの病院に行ったらいいのでしょうか?
救急車を利用する場合
ブラジルは救急車も公立と私立のものがあります。
公立の救急車はもちろん誰でも利用できます。
救急車の電話番号は192です。
保険を持っていれば、保険会社の救急車を使うこともできます。
また、公立の救急車を使っても、保険を持っていれば、私立病院に連れて行ってくれます。
しかし、救急の場合は、たとえ保険を持っていなくても、救急隊員が患者の容体によっては、私立病院に送ることもあります。
つまり、死ぬほどの状況だったら保険がなくても、もし一番近い病院が私立病院なら、救急車はそこに連れて行ってくれます。
この場合は、患者は医療費を払う必要がありません。
公共医療サービスによって、費用はカバーされます。
自分で病院に行く場合
自分で救急に行く場合は、公立病院の救急の場合は、無料です。
保険があれば、私立病院の救急も受診できます。
もし、保険無しで自分で私立病院に行ったら、救急であっても、支払いが発生します。
自分で病院に行く場合は、保険がないと、私立病院に行ったら、たとえ死にそうな状況でも、支払いが発生してしまいます。
子どもの病院の探し方
子どもの病院の探し方も大人と同じです。
ブラジルに住んでいる限り、子どもが必要な検診や予防接種は公共医療サービスによって、無料で受けられます。
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ブラジルの予防接種のスケジュールはこちらから確認できます。
3歳の娘さんがいるブラジル人のお友達によると、娘さんに何かあったときはWhatsAppでクリニックの小児科医に相談できたりするそうです!
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日本じゃお医者さんとLINEでやりとりするなんてありえないですよね(;^ω^)
ブラジルの病院での予約の取り方
ブラジルの病院・クリニックでの予約の取り方についてお話していきます。
ブラジルの病院の予約方法
ブラジルで予約する際は、基本的に電話で行います。
ポルトガル語で電話はハードル高いので、私は家族やお友達にお願いして電話してもらっています(;・∀・)
予約した後に、日時変更などする場合は、WhatsAppで受け付けてくれるクリニックもあります。
逆に、クリニックから日時変更のお願いがWhatsAppで来ることもあります。
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ブラジルの病院で予約に必要な情報
予約をする際に聞かれる情報は病院によって違いますが、基本的に下記のような内容です。
①フルネーム
②性別、年齢
③初診か再診か?
④症状
⑤保険(私立病院&クリニック)
その他聞かれる可能性があること
身長、体重、血液型、結婚の有無
ブラジルで妊娠したら?
ブラジルで妊娠したら、どのように妊娠検診などを受けるのでしょうか?
公共医療サービス(Sistema Único de Saúde)
公共医療サービスでは、最低6回の検診を受けるようにが決められています。
妊娠したら、まずプライマリーケアに行きます。
そこから、専門医(産婦人科)に紹介状を書いてもらい、予約して診察してもらいます。
保険/プラン(Plano)
保険/プランに加入している場合は、産婦人科医の判断によって、検診頻度が決まります。
ブラジルの病院・豆知識
ブラジルにも日本のように母子手帳があり、妊娠したら、母子手帳がもらえます。
ブラジルの病院の探し方・まとめ
ブラジルの医療システムと病院の探し方をまとめると・・・
・病院、クリニックは予約制(救急病院は除く)
・公立病院は専門医に診てもらうまでに時間がかかる
・外国人でも公共医療サービスによって無料で治療が受けられる
ブラジルに移住するなら、保険には入っておいたほうが良いと個人的には思います。
私はサンパウロ州に住んでいますが、サンパウロの大きな町の医療レベルはとても高いと感じています。
私は保険があるので、私立クリニックや病院に行きますが、腕がよくて、患者に親身になって、時間をかけて診察してくれる医者が多いです。
旦那さん・奥様やパートナーがブラジルの会社で働いている場合は、配偶者にも会社から保険が出ると思うので、確認してみてくださいね!